借金で訴状が届いたときの対処法|答弁書を出さないリスクと差押えを防ぐための対応

借金で訴状が届いたときの対処法|答弁書を出さないリスクと差押えを防ぐための対応

借金の返済を滞納していると、消費者金融、カード会社、銀行の保証会社、債権回収会社などから訴訟を起こされ、裁判所から訴状や口頭弁論期日呼出状が届くことがあります。訴状を受け取ったら、内容に心当たりがあっても放置してはいけません。

答弁書を提出せず、第1回口頭弁論期日にも出席しない場合、原告の主張を前提とした判決が出る可能性があります。その後、給与や預貯金などを差し押さえられるおそれもあります。本記事では、借金に関する訴状が届いたときの確認事項、答弁書の役割や書き方、分割払いを希望する場合の対応について詳しく解説します。

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目次

借金で訴状が届くのはどのような状況?

借金を滞納しても、直ちに裁判所から訴状が届くとは限りません。一般的には、電話、SMS、督促状、催告書、一括請求などを経た後、債権者が裁判手続きを取ることがあります。

ただし、督促の経過や時期は債権者によって異なります。連絡先の変更などで督促を受け取れず、本人にとって突然訴状が届いたように感じるケースもあります。

訴状を送ってくる可能性がある相手

借金に関する訴訟の原告になり得るのは、当初借りた会社だけではありません。

たとえば、次のような事業者から請求されることがあります。

  • 消費者金融
  • クレジットカード会社
  • 銀行
  • 銀行カードローンの保証会社
  • 信販会社
  • 債権回収会社
  • 債権を譲り受けた会社
  • 携帯電話会社
  • 後払い決済事業者
  • 個人の貸主

保証会社が銀行などへ代位弁済した場合は、元の銀行ではなく保証会社から請求されることがあります。債権譲渡が行われていれば、契約時とは異なる会社名が原告になっていることもあります。

知らない会社名だから架空請求だと決めつけず、訴状の「請求の原因」や証拠書類に、元の借入先、契約日、債権譲渡の経緯などが記載されていないか確認しましょう。

訴状と一緒に届く主な書類

裁判所から訴状が届くときは、一般的に次のような書類が同封されています。

  • 訴状
  • 口頭弁論期日呼出状
  • 答弁書の用紙
  • 答弁書の記載例
  • 証拠書類の写し
  • 手続きに関する注意書
  • 裁判所への提出方法を案内する書面

訴状には、原告が裁判所へ求めている内容である「請求の趣旨」と、請求の根拠となる事実を説明した「請求の原因」が記載されています。

口頭弁論期日呼出状には、第1回口頭弁論の日時、法廷、答弁書の提出期限などが書かれています。

書類を一部だけ読んで判断せず、封筒も含めてすべて保管してください。

訴状・支払督促・催告書の違い

借金に関する書類が届いたときは、その書類が「訴状」なのか「支払督促」なのか、債権者が作成した単なる催告書なのかを区別する必要があります。

手続きによって、提出する書類と期限が異なるためです。

届いた書類主な対応重要な期限
訴状・口頭弁論期日呼出状答弁書を提出し、期日に対応する呼出状に記載された提出期限・期日
支払督促不服があれば督促異議申立書を提出する受領から2週間以内が重要
仮執行宣言付支払督促不服があれば督促異議を申し立てる受領から2週間以内
債権者の催告書内容を確認し、返済・交渉・相談を検討する書面記載の期限。ただし裁判上の期限とは別
内容証明郵便請求内容や時効への影響を確認する書面と状況による

訴状には答弁書で対応する

訴状に対する被告の最初の主張書面が答弁書です。

裁判所の案内でも、答弁書は、訴状に記載された内容のうち、どこが正しく、どこが間違っているのか、さらに自分にどのような言い分があるのかを書く書面と説明されています。

参考:裁判所「民事訴訟の相手方(被告)となった方へ」

支払督促には督促異議を申し立てる

支払督促は、債権者の申立内容に基づき、裁判所書記官が金銭の支払いを命じる手続きです。訴状とは異なり、最初の段階では通常の訴訟のような審理が行われません。

支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てない場合、債権者の申立てにより仮執行宣言が付され、強制執行を申し立てられる可能性があります。

参考:裁判所「支払督促」

支払督促に不服がある場合は、答弁書ではなく、同封された督促異議申立書などを使用します。適法な異議を申し立てると、請求額に応じて地方裁判所または簡易裁判所の通常訴訟へ移行します。

催告書は裁判所の書類ではない

債権者や債権回収会社が作成した「法的手続移行予告」「最終通告書」「訴訟予告通知」などは、裁判所が発行した訴状とは異なります。

ただし、裁判所の書類ではないから無視してよいわけではありません。放置すると訴訟や支払督促を申し立てられる可能性があります。

書類の差出人、請求内容、返済状況を確認し、返済が難しい場合は早めに相談しましょう。

訴状が本物かどうかを確認する

裁判所をかたる架空請求や不審なはがきもあるため、訴状が本当に裁判所から届いたものか確認する必要があります。

一方、本物の裁判所から届いた書類について、「心当たりがないから詐欺だろう」と放置するのも危険です。

本物の裁判所からの書類に見られる情報

実際の訴状や呼出状には、通常、次のような情報が記載されています。

  • 裁判所名
  • 裁判所の部・係
  • 事件番号
  • 原告と被告の氏名または名称
  • 第1回口頭弁論期日
  • 法廷番号
  • 答弁書の提出期限
  • 担当書記官
  • 裁判所の連絡先
  • 請求の趣旨
  • 請求の原因

ただし、これらの記載があるだけで本物とは断定できません。不審な点があれば、書面に記載された連絡先へすぐ電話するのではなく、裁判所の公式ウェブサイトなどで代表番号を調べ、事件番号を伝えて確認する方法があります。

本物の裁判所を使った架空請求にも注意

債権者を装う人物が、実際の支払督促や少額訴訟を申し立てる可能性もあります。

裁判所は、申立てを受け付ける段階で、その借金が本当に存在するかまで常に確認してから書類を送るわけではありません。裁判所も、架空請求であっても一定の形式を満たした申立てがされれば、相手方からの反論を待つことになると注意を促しています。

参考:裁判所「裁判手続を悪用した架空請求等にご注意ください」

請求に全く心当たりがなくても、裁判所から届いた書類は放置せず、期限内に反論する必要があります。

借金の訴状が届いたら最初に行うこと

訴状を受け取った直後は不安になりやすいものですが、書類を隠したり捨てたりせず、期限と請求内容を整理することが重要です。

次の順番で確認しましょう。

1.受け取った日と封筒を記録する

訴状を受け取った日をメモし、封筒も保管してください。

判決に対する控訴や支払督促への異議など、書類を受け取った日が期間計算に関係する手続きがあります。

家族が受け取った場合は、誰がいつ受け取ったかも確認しましょう。

2.答弁書の提出期限と裁判期日を確認する

口頭弁論期日呼出状や注意書に記載された次の事項を確認します。

  • 答弁書の提出期限
  • 第1回口頭弁論期日
  • 開始時刻
  • 裁判所名
  • 裁判所の所在地
  • 法廷番号
  • 事件番号
  • 担当部・係
  • 担当書記官
  • 提出方法
  • 提出部数

提出期限は、すべての事件で訴状受領から同じ日数と決められているわけではありません。手元の呼出状や裁判所の指示を優先してください。

3.原告と請求金額を確認する

訴状の「請求の趣旨」で、原告が何を求めているか確認します。

借金の訴訟では、主に次の金額が請求されます。

  • 借入元金
  • 未払利息
  • 遅延損害金
  • 訴訟費用
  • 判決後の遅延損害金

訴状に記載された合計額だけでなく、どの時点から何%の遅延損害金を求めているかも確認しましょう。

4.請求の原因を読む

「請求の原因」には、一般的に次のような内容が記載されています。

  • 契約日
  • 借入金額
  • 貸付条件
  • 返済期限
  • 返済状況
  • 延滞が始まった日
  • 期限の利益を失った経緯
  • 債権譲渡
  • 保証会社の代位弁済
  • 現在の残高

自分の認識と異なる部分があれば、項目ごとにメモしておきます。

5.証拠と手元の資料を照合する

原告から提出された証拠の写しと、自分が保管している資料を照合します。

確認する資料として、次のものが挙げられます。

  • 契約書
  • 利用明細
  • 返済予定表
  • ATM利用控え
  • 振込明細
  • 預貯金通帳
  • 過去の督促状
  • 債権譲渡通知
  • 和解書
  • 完済証明書
  • メールやSMS
  • 過去の債務整理に関する書類

すでに支払った金額が反映されていない、別人の契約である、契約日が違うなどの問題がないか確認してください。

6.裁判所へ不明点を問い合わせる

提出方法や期日の場所など、手続き上分からない点は、呼出状に記載された担当書記官へ問い合わせることができます。

ただし、裁判所は中立な立場であるため、「この主張をすれば勝てるか」「時効が成立しているか」といった法律相談には応じられません。

具体的な主張や答弁書の内容は、弁護士などへ相談する必要があります。

答弁書とは?

答弁書とは、訴状に対する被告の認否や反論を裁判所へ伝える最初の書面です。

「借金があることは事実だから答弁書は不要」と考えるのは危険です。借金自体を認める場合でも、請求額、利息、これまでの返済、分割払いの希望など、裁判所へ伝えるべき内容がある可能性があります。

答弁書に記載する主な内容

借金に関する一般的な答弁書では、次の内容を記載します。

  • 事件番号
  • 裁判所名
  • 原告名
  • 被告の氏名・住所・連絡先
  • 作成年月日
  • 請求の趣旨に対する答弁
  • 請求の原因に対する認否
  • 被告の主張
  • 分割払いなど和解の希望
  • 添付する証拠
  • 送達場所

裁判所から答弁書のひな型が同封されている場合は、その用紙を使用できます。

裁判所の公式サイトにも、簡易裁判所用・地方裁判所用の答弁書書式や記載例が掲載されています。

参考:裁判所「民事訴訟で使う書式」

なお、2026年5月21日施行の改正民事訴訟法等により、事件の提起時期や提出方法によって使用する書式・手続きが異なる場合があります。手元の案内と担当裁判所の最新情報を確認してください。

請求の趣旨に対する答弁

「請求の趣旨に対する答弁」は、原告が求める判決について、被告がどのような判断を求めるかを記載する部分です。

請求を争う場合の一般的な記載例として、次のような表現があります。

  • 原告の請求を棄却する
  • 訴訟費用は原告の負担とする

ただし、借金の存在と金額を全面的に認め、分割払いだけを希望するケースなどでは、形式的な記載と本人の実際の主張をどのように整合させるか検討が必要です。

同封された記載例を機械的に写すのではなく、分からない場合は専門家へ確認しましょう。

請求の原因に対する認否

訴状の「請求の原因」に書かれた事実について、項目ごとに次のように回答します。

  • 認める
  • 否認する
  • 知らない
  • 争う

たとえば、実際に契約した事実は認めるものの、請求残高が自分の記録と違う場合は、契約部分と残高部分を分けて認否する必要があります。

内容を確認できていないのに、すべて「認める」と書くのは避けましょう。一度認めた事実を後から撤回するのが難しくなる場合があります。

反対に、明らかに事実である内容を根拠なくすべて否認すればよいわけでもありません。

自分の主張を記載する

被告側に主張があれば、答弁書の「被告の主張」などの欄へ記載します。

考えられる主張の例は次のとおりです。

  • すでに一部または全部を支払っている
  • 請求金額の計算が違う
  • 自分が契約した借金ではない
  • 債権譲渡の経緯が分からない
  • 原告が請求権を持つことを争う
  • 消滅時効が完成している可能性がある
  • 相殺できる債権がある
  • 分割払いによる和解を希望する
  • 現在の収入では一括払いが困難である

法的な主張には要件があり、単に書けば認められるわけではありません。特に消滅時効や債権譲渡、保証契約などが問題になる場合は、専門家への相談を検討してください。

答弁書を出さないとどうなる?

答弁書を提出せず、第1回口頭弁論期日にも出席しない場合、原告の請求を認める内容の判決が出る可能性があります。

裁判所の案内でも、適切な答弁書を提出せず、期日にも欠席すると、原告の請求を認める判決がされる場合があると注意されています。

参考:裁判所「注意事項及び答弁書の書き方について」

原告の主張を争わないと扱われる可能性

民事訴訟では、相手方が主張した事実について明確に争わない場合、その事実を認めたものとして扱われることがあります。

請求内容が間違っていても、自動的に裁判所が被告に有利な資料を集めてくれるわけではありません。支払い済み、別人の借金、時効などの事情があるなら、自分から適切に主張する必要があります。

欠席判決が出る可能性

被告が何も対応しなければ、原告が提出した訴状と証拠を基に審理が進み、原告の請求どおりの判決が出る可能性があります。

判決には、元金だけでなく、利息、遅延損害金、訴訟費用などの支払いが含まれることがあります。

仮執行宣言により早期に差押えを受ける可能性

金銭請求の判決には、判決が確定する前でも強制執行を可能にする仮執行宣言が付される場合があります。

そのため、「判決が届いてから対応すればよい」と考えるのは危険です。控訴を検討している間に差押えの手続きが進む可能性もあります。

給与や預貯金を差し押さえられる可能性

債権者が確定判決や仮執行宣言付判決などの債務名義を取得すると、裁判所へ強制執行を申し立てることができます。

差押えの対象になり得る主な財産は次のとおりです。

  • 給与
  • 賞与
  • 預貯金
  • 不動産
  • 自動車
  • 売掛金
  • 生命保険の解約返戻金
  • その他の債権・財産

一般的な貸金債権による給与差押えでは、原則として手取り額の4分の1が差押えの対象となり、手取り月額が44万円を超える場合は33万円を超える部分が差押えの対象となります。

参考:裁判所「民事事件Q&A」

給与差押えの通知は勤務先にも送られるため、借金や裁判の事実を勤務先に知られる可能性があります。

借金自体に争いがない場合も答弁書は必要?

借金の契約や残高に大きな争いがなくても、答弁書を提出する意味はあります。

一括では支払えないが毎月一定額なら返済できる場合、和解希望を答弁書へ記載し、裁判の中で分割払いを話し合える可能性があります。

分割払いの和解を希望できる

裁判所内で原告と被告が合意すれば、分割払いによる訴訟上の和解が成立することがあります。

答弁書には、次のような情報を記載することが考えられます。

  • 一括払いができない理由
  • 現在の手取り収入
  • 毎月の生活費
  • 返済へ回せる金額
  • 支払開始可能日
  • 毎月の希望返済額
  • ボーナス払いの可否
  • 家計改善の状況

ただし、原告が希望条件に応じる義務はありません。また、支払可能額を大きく見せるために無理な金額を提示すると、和解後に再び滞納する可能性があります。

和解条項には期限の利益喪失条項が入ることがある

分割和解では、一定回数または一定額の支払いを怠った場合、残額を一括請求できる「期限の利益喪失条項」が定められることがあります。

さらに、残額に遅延損害金が加算される場合もあります。

和解前には次の点を確認してください。

  • 毎月の支払額
  • 支払日
  • 初回支払日
  • 支払回数
  • 最終支払額
  • 振込先
  • 振込手数料
  • 将来利息
  • 遅延損害金
  • 何回の滞納で一括請求になるか
  • 強制執行を受ける条件

裁判上の和解調書は、確定判決と同様に強制執行の根拠となります。実行できない条件へ安易に同意しないことが重要です。

消滅時効の可能性がある場合の注意点

長期間返済や連絡をしていない借金について訴状が届いた場合、消滅時効が問題になることがあります。

ただし、古い借金だから自動的に支払義務がなくなるわけではありません。

時効は自動的には適用されない

消滅時効の期間が経過していても、債務者が時効を援用しなければ、裁判で支払義務が否定されない場合があります。

答弁書で時効を主張する必要があるケースもあるため、契約日、最終返済日、過去の判決・和解の有無などを確認します。

債務承認に注意する

債権者へ連絡し、次のような対応をすると、債務を承認したと評価され、時効の主張に影響する可能性があります。

  • 借金があることを認める
  • 少額でも支払う
  • 分割払いを申し出る
  • 支払猶予を求める
  • 返済計画書へ署名する

時効の可能性があるときは、債権者へ電話して支払約束をする前に、弁護士などへ相談した方がよいでしょう。

過去の判決があると時効期間の判断が変わる

以前に同じ借金で判決、支払督促、裁判上の和解などが成立している場合は、通常の借金とは時効の起算点や期間が異なる可能性があります。

今回届いた書類だけでなく、過去の裁判書類も専門家へ見せましょう。

答弁書を提出する際の注意点

答弁書は期限内に、手元の裁判所の案内に従って提出します。提出方法や部数は裁判所・事件の処理方法によって異なることがあります。

提出先を間違えない

答弁書は、原告の法律事務所だけでなく、事件を担当する裁判所へ提出する必要があります。

裁判所用と原告用の部数が必要な場合や、相手方へ直接送付する扱いの場合もあるため、同封された案内を確認してください。

郵送する場合は余裕を持つ

提出期限は発送日ではなく、裁判所への到着を基準として案内されている場合があります。

期限直前に普通郵便で送ると間に合わない可能性があるため、担当書記官へ提出方法を確認し、余裕を持って対応しましょう。

ファクス・オンライン提出は案内を確認する

裁判所や事件によっては、ファクスや民事裁判書類電子提出システム「mints」を利用できる場合があります。

2026年5月21日以降、民事訴訟のデジタル化に伴って手続きが変更されていますが、すべての人が同じ方法で提出するとは限りません。利用できる提出方法は、手元の書面または担当裁判所へ確認してください。

控えと送信記録を残す

提出した答弁書はコピーやPDFで保管しましょう。

郵送した場合は追跡できる方法を検討し、ファクスなら送信結果、オンライン提出なら受付記録を保存します。

第1回口頭弁論に出席できない場合

仕事、病気、遠方などの事情で指定された期日に出席できないこともあります。その場合でも、無断で欠席するのは避けましょう。

早めに担当書記官へ連絡する

期日に出席できないことが分かったら、担当書記官へ早めに連絡します。

連絡しただけで期日が当然に変更されるわけではありませんが、利用できる手続きや必要な対応について案内を受けられる場合があります。

第1回期日は答弁書による陳述擬制が認められる場合がある

民事訴訟の第1回口頭弁論では、被告が適切な答弁書を提出していれば、欠席しても答弁書を法廷で述べたものとして扱われる場合があります。

ただし、事件の種類、答弁書の内容、その後の期日などによって扱いは異なります。「答弁書を出せば、最後まで一度も出席しなくてよい」という意味ではありません。

裁判所から出席や追加書面の提出を求められた場合は対応してください。

少額訴訟では特に早めの準備が必要

少額訴訟は、原則として1回の期日で審理を終える手続きです。証拠や主張を後から出そうとしても間に合わない可能性があります。

通常訴訟での審理を希望する場合は、定められた時期までにその旨を述べる必要があります。少額訴訟の書類が届いたら、早急に対応しましょう。

判決が出た後にできる対応

すでに答弁書を出さないまま判決が出てしまった場合も、判決書を放置してはいけません。

控訴期間を確認する

第一審判決に不服がある場合、原則として判決書の送達を受けた日から2週間以内に控訴できます。

参考:裁判所「民事訴訟」

控訴期間は短いため、判決書を受け取ったら受領日を記録し、直ちに専門家へ相談しましょう。

なお、少額訴訟判決では、通常の控訴ではなく、同じ簡易裁判所への異議申立てが問題になります。

控訴しても強制執行が自動的に止まるとは限らない

判決に仮執行宣言が付いている場合、控訴しただけでは強制執行が当然に停止しないことがあります。

強制執行停止の申立てや担保の提供が必要になる可能性があるため、差押えのおそれがある場合は早急な対応が必要です。

判決後でも返済交渉できる場合がある

判決が出た後でも、債権者が応じれば分割返済について交渉できる可能性があります。

ただし、債権者はすでに強制執行できる立場を得ているため、訴訟前より厳しい条件を提示する可能性があります。合意が成立するまで差押えが止まる保証もありません。

訴訟中でも債務整理はできる?

借金の訴訟を起こされた後でも、任意整理、個人再生、自己破産を検討できます。

ただし、専門家へ依頼しただけで裁判が自動的に中止されるわけではありません。受任通知を送っても、すでに進行している訴訟には答弁書や期日対応が必要です。

任意整理

返済できる収入があり、将来利息の免除や分割回数を見直せば完済できる場合は、任意整理または訴訟上の和解を検討します。

訴訟中の債権者だけでなく、ほかの借入れも含めて返済可能か確認する必要があります。

個人再生

借金を一定額まで減らせば継続して返済できる場合は、個人再生を検討できる可能性があります。

申立てを準備している間に訴訟や差押えが進む可能性があるため、スケジュールを含めて弁護士へ相談しましょう。

自己破産

収入や財産の状況から返済ができない場合は、自己破産による免責を検討することがあります。

破産手続開始決定や免責の効果が訴訟・強制執行へどのように影響するかは、債権の種類や手続きの段階によって異なります。税金など免責されない債権もあります。

訴状が届いたときの相談先

答弁書の内容や時効、分割和解、債務整理の判断が難しい場合は、早めに専門家へ相談しましょう。

弁護士

弁護士は、簡易裁判所・地方裁判所の訴訟代理、答弁書作成、債権者との交渉、個人再生・自己破産などに対応できます。

地方裁判所の訴訟では、原則として弁護士が訴訟代理人となります。

認定司法書士

法務大臣の認定を受けた司法書士は、請求額が140万円以下の簡易裁判所の民事事件について、一定の範囲で訴訟代理を行えます。

請求額が140万円を超える場合や、地方裁判所の事件では代理権の制限があるため、相談時に対応範囲を確認してください。

法テラス

収入や資産が一定基準以下などの条件を満たす場合は、法テラスの無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替制度を利用できる可能性があります。

ただし、答弁書の期限が迫っている場合は、予約日を待つだけでなく、裁判所への対応を並行して確認する必要があります。

訴状が届いたときに避けるべき行動

訴状を受け取った後、焦って不適切な対応をすると、主張できたはずの権利を失う可能性があります。

次の行動は避けましょう。

書類を捨てる・家族に隠す

書類を捨てても訴訟は止まりません。提出期限や裁判期日はそのまま進みます。

家族に知られたくなくても、まず書類を安全に保管し、対応方法を確認しましょう。

原告へ確認せず全額を振り込む

請求金額に誤りがある、すでに支払った金額が反映されていない、時効が成立しているなどの可能性があります。

特に請求に心当たりがない場合は、書面に書かれた振込先へ直ちに送金せず、裁判所と請求内容を確認してください。

時効を確認せず返済を約束する

古い借金の場合、電話で返済を約束したり、少額を支払ったりすると、時効の援用に影響する可能性があります。

債権者へ連絡する前に、最終返済日や過去の裁判歴を確認しましょう。

無理な分割払いを提案する

差押えを避けたい一心で、毎月支払えない金額を提示するのは危険です。

和解後に滞納すれば、残額の一括請求や強制執行を受ける可能性があります。家計表を作成し、継続できる金額を提示しましょう。

専門家へ依頼しただけで安心して放置する

弁護士などへ相談予約を入れただけでは、答弁書の期限は延びません。正式に依頼した場合も、提出が完了したか確認する必要があります。

訴状一式をすべて見せ、提出期限と期日を最初に伝えましょう。

借金の訴状が届いたときのチェックリスト

受領後は、次の項目を順番に確認してください。

  • 本物の裁判所から届いた書類か確認した
  • 事件番号を確認した
  • 訴状と支払督促を区別した
  • 書類を受け取った日を記録した
  • 答弁書の提出期限を確認した
  • 第1回口頭弁論期日を確認した
  • 原告の名称を確認した
  • 元の借入先との関係を確認した
  • 請求元金、利息、遅延損害金を確認した
  • 契約日と最終返済日を確認した
  • 支払い済みの金額が反映されているか確認した
  • 過去の判決や和解の有無を確認した
  • 時効の可能性がないか確認した
  • 手元の契約書や通帳を集めた
  • 答弁書へ不用意な承認を書いていない
  • 分割払いが継続可能か家計を計算した
  • 提出方法と必要部数を確認した
  • 提出した答弁書の控えを保管した
  • 出席できない場合は裁判所へ連絡した
  • 必要に応じて弁護士などへ相談した

期限が迫っていて詳しい答弁書を作成できない場合も、何もせず放置するのは避けましょう。担当裁判所や専門家へ早急に相談してください。

借金の訴状と答弁書に関するよくある質問

訴状を初めて受け取った方が疑問に感じやすい点をまとめます。

借金を認めているなら裁判へ行かなくてもよい?

借金を認めていても、答弁書を提出せず欠席すると、一括払いを命じる判決が出る可能性があります。

分割払いを希望する場合や請求額の一部に誤りがある場合は、答弁書で主張し、必要な期日に対応しましょう。

答弁書に「分割払いを希望する」とだけ書けばよい?

分割払いの希望だけでは、訴状に記載された事実を認めるか否かが不明確になる場合があります。

請求の趣旨への答弁、請求原因に対する認否、分割払いを希望する理由と支払可能額を分けて記載することが重要です。

答弁書を出せば第1回期日に必ず欠席できる?

第1回口頭弁論では、答弁書の陳述擬制が認められる場合がありますが、事件や書面の内容によって異なります。

欠席する場合は自己判断せず、担当書記官へ連絡してください。その後の期日は、答弁書を出しただけでは欠席できないことがあります。

訴状が家族に届いたら家族が支払う必要がある?

原則として、家族であるだけで本人の借金を支払う義務はありません。

ただし、家族が保証人、連帯保証人、連帯債務者になっている場合は請求を受ける可能性があります。本人が亡くなっており、相続が関係する場合も別の検討が必要です。

裁判所へ電話すれば分割払いにしてもらえる?

裁判所は中立な機関であり、被告の代わりに原告と返済条件を交渉する窓口ではありません。

訴訟上の和解を希望する場合は、答弁書や期日でその意思を示し、原告との合意を目指します。裁判所から手続きの案内は受けられますが、個別の法律相談は受けられません。

訴状が届いた後でも原告へ直接連絡してよい?

直接交渉は可能な場合がありますが、時効、請求額、債務承認などに問題があるケースでは、不用意な発言が不利に働く可能性があります。

原告に代理人弁護士が付いている場合は、その代理人が連絡窓口です。不安がある場合は、自分から支払約束をする前に専門家へ相談しましょう。

裁判中に少額を払えば裁判は終わる?

請求額の一部を支払っただけで、訴訟が自動的に終了するわけではありません。

支払額を差し引いた残額について訴訟が続く可能性があります。支払う場合は、充当関係、残高、訴訟の取下げや和解条件を確認してください。

まとめ

借金に関する訴状が届いたら、内容に心当たりがあっても、なくても放置してはいけません。

答弁書を提出せず、第1回口頭弁論期日にも出席しなければ、原告の請求どおりの判決が出る可能性があります。判決や仮執行宣言を根拠として、給与、預貯金などを差し押さえられるおそれもあります。

訴状を受け取ったら、次の順番で対応しましょう。

  1. 書類が訴状・支払督促・催告書のどれか確認する
  2. 本物の裁判所から届いたか確認する
  3. 受領日を記録して封筒を保管する
  4. 答弁書の提出期限と裁判期日を確認する
  5. 原告、請求額、契約内容を確認する
  6. 手元の返済記録と照合する
  7. 請求原因ごとに認める・否認する・知らないを整理する
  8. 分割払いを希望する場合は継続可能額を計算する
  9. 期限内に答弁書を提出する
  10. 時効や請求内容に疑問があれば専門家へ相談する

特に、長期間返済していない借金では、消滅時効が成立している可能性があります。債権者へ電話して返済を約束したり、少額を支払ったりする前に、専門家へ確認した方がよいでしょう。

すでに答弁書の期限が迫っている、判決が出ている、差押命令が届いたという場合は、通常の借金相談以上に緊急性があります。届いた書類一式を持参し、弁護士などへ早急に相談してください。

※本記事は2026年7月時点の一般的な民事訴訟手続きを解説するもので、個別案件についての法律相談ではありません。提出期限、書式、提出方法、主張内容は事件や裁判所によって異なるため、手元の裁判書類と担当裁判所の案内を必ず確認してください。

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